板織り
2013年08月31日
山本 郁子
板織りは古くて新しい織物です。古くてというのは、戦前から戦後にかけて、岡谷、諏訪一帯の多くの家庭で織られていたのです。新しいというのは、ボードウィービングの山野井さんや、裂き織ジュンコさんの協力を得て、縄文阿久友の会の会田進さんが板織りを復活なさったのです。
板織りは木の板に後ろ身頃、前見頃、袖などの形にピンをさし、縦糸をかけます。そして、横糸をシャトル(杼)や織り針で縦糸にくぐらせて織っていきます。出来あがった織物は形が出来ているので、それを接ぎ合わし、周囲をまつれば、即出来上がりという具合です。
昔はきびそを使い、羽織下などを作っていました。きびそは蚕が繭を守るために最初に吐き出した糸で、太くて硬くて強いのですがゴミがついていたり、不揃いなので生糸には向かないので、捨てられていました。それを利用していたのです。
現在は絹糸、毛糸、裂き布など使いますが、縄文阿久友の会では絹糸にこだわっています。縄文人は皮、麻、藤などゴワゴワしたものを着ていたと見なされがちですが、私たちの賢い祖先がそのようなみじめな姿でいたはずがありません。野蚕を使って、ファッショナブルなお洒落をしていたに違いないのです。
板織り講習会が8月の10日間、開かれました。参加者は自分のペースでベストやポシェット、携帯入れなどを作りました。ちなみに私はベストの後ろ身頃を織りました。得意の編み物とコラボさせようと企んでいます。
古い板、釘も木製、きびそを使う 新しく考案した板を使っての板織り